会社が使用している本社や工場の所有者が社長個人であるということはよくあります。
新規に当事務所とご契約いただいたクライアント様の中には、この場合の当該不動産について、所有者が社長であるため特に賃料のやりとりをしていない(使用貸借)ということが多いように思います。
法人税法上や所得税法上は社長所有の不動産を使用貸借で会社が使用しても特に問題になることはありません(ただし、借地である場合は無償返還の届出が必要になります。)が、相続対策という観点からは賃料が有償である賃貸借の場合と無償である使用貸借の場合でその評価額は大きく変わります。
賃料が有償(賃貸借)の場合と無償(使用貸借)の場合での、社長個人に相続があったときの相続税評価上の違いは次のとおりです。
①賃料が有償(賃貸借)の場合
・社長個人の不動産は賃貸不動産扱いとなり、その評価額は自用地評価額から一定額が減額される
・小規模宅地等の評価減(特定同族会社事業用宅地等)の特例が使える可能性がある
②賃料が無償(使用貸借)の場合
・社長個人の不動産は自用不動産扱いとなり、その評価額は自用地評価額となる
・小規模宅地等の評価減(特定同族会社事業用宅地等)の特例は使えない
なお、賃料がその不動産の必要経費を負担する程度の少額な場合には使用貸借として取り扱われますので、賃貸借とするためには少なくともその不動産の固定資産税の2~3倍程度の賃料を支払う必要があります。
会社と社長というような同族関係間での不動産の賃貸借取引の課税関係はとても複雑です。
何に重点を置くかを考え、正しい理解のもとに慎重に進めていくことが大切です。
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豊中市、大阪市、八尾市を中心に活動している税理士法人ライトハンドです。
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