婚姻期間が20年以上であるなどの一定の要件を満たす夫婦間で自宅の贈与する場合、その贈与について2,000万円(暦年贈与の年間の非課税枠110万円と合わせると2,110万円)まで贈与税が非課税になります。
この制度についてよく質問を受けますので、以下にまとめておきます。

〔この制度を使うことが有効である場合〕

①夫婦のどちらか一方に財産が偏っている場合
相続時の基礎控除額は夫婦それぞれにあります。仮に夫が自宅を所有し、妻は何も財産を持っていない場合、妻の基礎控除額は全く使わないことになります。このような場合にこの特例を使って贈与しておけば、妻の基礎控除額を上手に活用した相続対策となります。

②自宅の地積が小規模宅地の評価減の限度面積(330㎡)を超えている場合
居住用宅地等の小規模宅地の評価減の特例は330㎡が上限となりますので、自宅の地積が330㎡超である場合は、この特例を使って一部を贈与することで小規模宅地の評価減の特例を夫婦で上手に最大限適用することができます。

③将来自宅の売却の可能性があり、その自宅が相続取得などの理由により売却の際に譲渡所得が多額に発生する見込みである場合
その売却時に居住用財産の3,000万円特別控除の特例を夫婦それぞれで使えることになります。(ただし、売却することがすでに決まっているなどの場合は「その後も引続き居住する見込みであること」の要件を満たさないことになりますのでこの特例は適用できません。)
なお、この場合は、居住用財産の3,000万円特別控除の特例における自宅の要件が「家屋」又は「家屋及びその敷地」であるため、必ず家屋も併せて贈与する必要があります。

〔この制度を使う時の留意点〕

①この特例は同一の配偶者からは一生に一度しか使えませんので、2,000万円について、今年1,000万円分を使い、来年残りの1,000万円分を使うということはできません。

②贈与税は非課税になりますが、登録免許税や不動産取得税はかかります。なお、登録免許税は相続取得時(0.4%)よりも高い税率(2%)となりますので留意する必要があります。また、不動産取得税は一定の要件を満たす場合には軽減措置(住宅の取得に対する軽減)があります(要手続)。

③そもそも贈与者に相続税が課税されない場合や、贈与を受けた配偶者に先に相続が発生してその相続により贈与者に戻ってくる場合は、登録免許税や不動産取得税が余計に課税されるだけとなってしまいます。配偶者に先に相続が発生する場合を想定しておく必要があります。

④この特例により贈与した自宅は、贈与税は非課税になりますが、通常の贈与時と同様に特別受益財産にあたるため、他の相続人からの遺留分減殺請求の対象になります。

⑤贈与税額が発生しない場合であっても、贈与した年の翌年3/15までに贈与税の申告が必要になります。

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